【10月*干し柿】 ~ ヒトは食えそうなものを惜しいと思い、何とか食おうとするらしい、の巻。
柿という果物は、数少ない日本原産の果物*1のひとつで、
日本の風土に適した樹木であるために、実をならせるだけなら
ほとんど手入れ不要で、どんだけ放置しておいても、たわわに実る。
だけど、寒い地方では一つ問題がある。
ほぼ間違いなく、渋柿に育つのだ。
里の幸data | |
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名称 | 柿の実 |
分類 | カキノキ科カキノキ属 |
分布 | 沖縄を除く全国 |
落葉木。里の秋の恵みの代表格。古い町ほど多くの家々に柿の木がある。手入れせずにいるとかなり大きな木になるので、手が付けられなくなり、ならせっぱなしで汚く朽ちている柿の実をよく見かけることになる。 |
甘柿と渋柿の違いは、品種の違いだろうと
当然のように思っていたのだが
ところがどっこい、信州の柿はどれも渋柿と来てやがる。
甘柿の種から育てても渋柿になる。
こればっかりはどうしようもない。
中にはへそ曲がりで甘い実をつける樹もあるようだが
それは幸運なる諸条件に恵まれた変異種であって、
基本的には寒い地域では渋柿が実る。
それでも、ジュクジュクに熟したものを食べると、
あれ、大丈夫じゃん、と思えるほど甘いんだけどね。
そう思ったのもつかの間、すぎに口の中から
すべての水分を吸い取るような、強烈な渋みがやってくる。
昔の人は、これを何とかして食おうと思ったんだろう。
大きな実がたくさんなるし。
強烈な渋みがあるけど、結構甘いし。
梅の実を何とかして食おうとして、梅干しを発明したように。
梅の実って、すごくいい香りするからね。そのまま食えないのが不思議なくらいに。
渋柿に対する対処として、いまだったら、
一度冷凍庫で凍らせるとか、いろんな渋抜き法があるのだけれど、
やっぱり一番は古来から伝わる「干し柿」だろう。
そんなわけで、我が家では、
干し柿目当て、というのももちろんあるけれど、
樹にならせたままだと、べちゃべちゃのドロドロになって見た目が悪い、
ということもあって、ある年から見よう見まねで作ってみるようになった。
干し柿を作る
1.取る
八百屋やスーパーで売っている柿のように、実の軸で切り離してはいけない。
ヒモにくくりつけられなくなるからね。
先述のように、日本の風土にあった樹なので、多少の障害にはめっぽう強い。
剪定もかねて、実のない枝もまとめて、結構思い切って枝を落としてしまおう。
それに、剪定しないと柿の木はでかくなりすぎて、手が付けられなくなるのだ。
手がつけられなくなった柿の木は、ドロドロになった実が周囲に散乱するようになるため、いずれ近づかなくなってしまう。
脚立で届かないようなところに実がならないように、思い切って剪定しよう。
もうひとつ、手を抜いて、高枝切りばさみで取ろうとしてはいけない。
鈴なりに実るので、重すぎて間違いなく落とす。
べちゃっと。
横着せず脚立を出して取ろう。
ひととおり枝を払い終わったら、
柿の実に小さいT字型に枝を残すようにして準備完了。
2.干す
ヘタを残して皮をむく。
むいたら、焼酎かホワイトリカーにまんべんなく浸す。
以前、作業中にホワイトリカーが切れて、
ためしに調理酒として使用している日本酒でやってみたことがあるが、見事にカビた。
せめて酢でやろう。
長めのヒモ*2に輪を作りながら、上から順に結わえていく。自重で締まる。
1~2週間くらい干して、触ってもべたつかない程度に乾いてきたら、中央付近を平たくつぶして伸ばす感じで、もむ。
前後からつぶして、指先に中の種を感じるくらいまで平たくする。
揉みしごくと黒くなって見栄えが悪くなってしまうので、ほどほどに。
隣に見えるは、乾燥中のポップコーン
やがて干したことも忘れたころ、軽く白く粉が吹いてきたらできあがり。
いつもだいたいクリスマスぐらいまで待つけど、実際はもっと早くから食べられると思う。